成年後見申し立て
具体的にはどんな場合に利用するのでしょうか?
- 相続が発生し、相続人のうちの一人が判断能力のない方であったとします。
- このままでは遺産分割協議をして法定相続分とは違う分け方をすることはできません。遺産分割協議は相続人全員で行わなければならず、一人が欠けてもいけません。
こんな場合に、判断能力のない方について成年後見制度を利用し後見人を選任することで、後見人が判断能力のない方の法定代理人として、正式に遺産分割協議に参加することができます。法定相続分とは違う分け方もすることができるようになります。 - 認知症の方がいて、その判断能力がない状態につけこんで、悪徳業者が家のリフォーム契約を締結させたとします。
- 成年後見制度を利用していないと、契約を取り消すためには、詐欺の主張や、買うつもりでなかったなら錯誤の主張、または消費者契約法などを駆使して解除の主張をしていかなければなりません。
この場合、認知症の方の側で詐欺行為があったことを立証しなければならないのです。でも成年後見制度を利用し後見人が選任されていれば、後見人が法定代理人として、この立証なしに直ちに取り消すことができます。
成年後見制度利用のながれ
まず誰を後見人にするか、どんな内容の身上看護と財産管理を行うか、決めなければなりません。
相談、状況把握、方針決定
司法書士がご本人、ご本人のご家族や支援する人と面談を行います。
申立書の作成
ご依頼があれば司法書士が作成します。
申立書の提出
申立書・費用を用意して家庭裁判所に行きます。司法書士に依頼している場合には司法書士が同行します。
裁判所の調査
申立人、本人、後見人候補者が家庭裁判所に呼ばれて事情を聞かれます。司法書士に依頼している場合には司法書士が同行します。
鑑定
ただし、裁判所の判断により鑑定が行われないこともあります。
審判
事実調査・精神鑑定を経て家庭裁判所が適当であると判断すれば成年後見が開始されます。
登記
裁判所の職権で、法務局に後見人の選任されたことが登記されます。
これにより、後見人であることの証明書として成年後見登記の「登記事項証明書」を取得することができるようになります。
上記手続きにかかる日数
事案によって内容が異なりますので、とても一概には言えませんが、
「相談をお受けし、必要書類をととのえて、申立書を完成・提出するまで」に、少なくても3~6ヶ月くらいは見ておくべきでしょう。
そして「申立書を提出してから裁判所の審判がなされるまで」に、これも事案によってかなり異なり、2・3ヶ月~10ヶ月くらいといったところでしょうか。